人間サイコロ
「イクヤ、いる?」
施設の一室をノックして声をかけると、すぐに中から「ユウ?」と、声がした。
「今日も来たよ」
そう言ってドアを開けると、すっかり包帯が取れたイクヤがイスに座っていた。
病院からも退院できて、今は盲学校へ通うための練習を、この施設で行っていた。
「毎日来なくていいのに」
そう言いながら、イクヤはあたしの声がするようへ顔を向ける。
色の濃いサングラスをかけているから見えないけれど、その目はガランドウだった。
「何言ってんの。あたし彼女でしょ?」
近づいてみると、机の上には点字を覚えるための教科書が広げられていた。
「点字かぁ、あたしも覚えようかな」
「結構難しいんだぞ? ユウにできるかな」
「あたしのことバカだって思ってる?」
軽口を叩きながらじゃれ合う。
こんな日が来ることを夢見ていたのに、どこか切なさを覚えた。
施設の一室をノックして声をかけると、すぐに中から「ユウ?」と、声がした。
「今日も来たよ」
そう言ってドアを開けると、すっかり包帯が取れたイクヤがイスに座っていた。
病院からも退院できて、今は盲学校へ通うための練習を、この施設で行っていた。
「毎日来なくていいのに」
そう言いながら、イクヤはあたしの声がするようへ顔を向ける。
色の濃いサングラスをかけているから見えないけれど、その目はガランドウだった。
「何言ってんの。あたし彼女でしょ?」
近づいてみると、机の上には点字を覚えるための教科書が広げられていた。
「点字かぁ、あたしも覚えようかな」
「結構難しいんだぞ? ユウにできるかな」
「あたしのことバカだって思ってる?」
軽口を叩きながらじゃれ合う。
こんな日が来ることを夢見ていたのに、どこか切なさを覚えた。