人間サイコロ
☆☆☆

それから1時間ほど、あたしはゲーム会社に調べていた。


今度は公式の記事だけじゃなく、SNSなども確認していく。


しかし、10年も前になくなった会社のことだから、話題に出している人はほとんどいなかった。


「あんまり、いい噂はなかったみたいだね」


一般の人の書き込みを何件か読んでみても、ホラーゲームを扱っているということで世間から白い目で見られていることがわかった。


「ジャンルによって、受け入れられやすいものとそうじゃないものがあるよな」


イクヤは頷き、そう答える。


特にゲーム会社の近隣住民からは、妙なゲームを制作していると噂されていたようだ。


「ここで働いていた人たちは肩身が狭かったのかもしれないね。当時の社員さんのブログがあったけど、『絶対に見返したい』とか『ホラーだからって差別されたくない』っていうことをずっと書いてあったよ」


「見返したい、か……。もしかして、それが原因で避難勧告を無視して働き続けてたのかもしれないな」


「そう……かもしれないね」


あたしたちの憶測に過ぎないけれど、自分の好きなものを非難されれば誰だって嫌な気持ちになる。


だからこそ、人一倍努力をしていたのかもしれない。


そして、逃げ遅れた……。

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