人間サイコロ
「それより、いつからイツキのことをそんな風に見てたの?」


「わかんないよ。なんか、気が付いたら目で追いかけてたんだから」


下を向き、モジモジと口ごもりながら言うホナミ。


普段から言いたいことはハッキリ口に出すホナミが、まるで別人みたいだ。


その姿は美人というよりも可愛らしくて、こっちまで自然と笑顔になってしまう。


「あたしのことよりも、自分の事を気にしたらいいのに」


ホナミがあたしへ向けてそう言って来た。


「え?」


咄嗟のことだったので上手く誤魔化す事ができず、あたしは固まってしまった。


「イクヤのこと、好きなんだよね?」


そう聞いて来たのはミホで、聞かれた瞬間悲鳴をあげそうになっていた。


見る見る内に体温が急上昇して行き、ホナミ以上に赤面しているのが自分でも理解できた。


「ユウは顔に出まくりだから、バレバレだよ?」


ホナミが笑うのを必死で我慢してそう言った。


「そ、そんなに顔に出てた……?」


「出てたよ」


ミホがあたしの頬をツンッとつついて答える。


その言葉にあたしは両手で顔を隠して大きく息を吐きだした。
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