人間サイコロ
あたしは無意識の内にイクヤの手をキツク握りしめていた。


この綺麗な手からすべての爪が無くなってしまうと思うと、全身が冷たくなっていった。


「なんで……さっきはそこまで指定されてなかったのに……」


あたしはそう呟いてうつむいた。


あたしのイレズミの時は、イレズミの大きさとか、入れる場所に特に指定はなかった。


でも、今回は手の爪をすべて剥ぐと書かれているのだ。


これをちゃんとクリアしないと、次には進めない。


「ユウ、大丈夫だから教えて? カウントダウンがなくなるだろ?」


「……そうだね」


そう言っても、このミッションをイクヤに伝えるのは勇気が必要だった。


「手の爪を、全部剥ぐ」


あたしはイクヤから視線を外し、床を見つめてそう言った。


隣でイクヤが息を飲む音が聞こえて来る。


「これ、使えるんじゃないか?」


後ろから先生が声をかけてきたので振りむくと、その手にはニッパーが握られていた。


「先生、お願いします」


イクヤは青ざめているが、しっかりとした声でそう言った。
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