人間サイコロ
☆☆☆

イクヤの悲鳴が倉庫中に響き渡っていた。


足元には5枚の爪が落下していて、一緒に剝がれた薄皮も血にまみれた状態だった。


あたしは後ろからイクヤの体を抱きしめたまま、キツク目を閉じた。


これでまだ半分だなんてひどすぎる。


とても見ていられなくなった。


抱きしめているイクヤはあたしの腕の中でもがき、何度も逃げ出そうとする。


その度にあたしは抱きしめる腕に力を込めた。


ここまでスムーズに爪を剥いできたけれど、カウントダウンは残り1分だ。


イクヤが暴れることで時間制限に間に合わなくなるかもしれない。


「うぅぅぅぅぅ!!」


また、イクヤが唸り声を上げ始める。


一枚の爪が徐々に体から切り離されている時、イクヤは唸り声を上げた。


「もう1枚だ!」


先生の声にあたしはハッとして目を開けた。


床に落ちた爪はさっきより数を増やしていて、イクヤの指先からは次々血が流れ出していた。


そしてついに、最後の一枚になった。
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