人間サイコロ
イクヤが笑顔を見せて安心させてくれているのに、泣いている場合じゃない。


それに、ゲームはまだ続いているのだ。


「次は先生の番だろ?」


イクヤに質問されて、あたしは画面の前に座っている先生に視線を向けた。


しかし、サイコロはまだ振られていないようだ。


「先生、ちょっと確認したいことがあるんです」


あたしはそう言って先生に近づいた。


「確認したいこと?」


「はい」


頷き、画面を横から確認する。


あの逆さ読みのローマ字が、まだ表示されている状態だった。


あたしは先生からコントローラーを受け取り、イクヤが見つけてくれたコマンドを入力する。


そして表示されたのは、前回と同じ画面だった。
< 166 / 188 >

この作品をシェア

pagetop