人間サイコロ
☆☆☆

それから先生が探し出したのは剪定ばさみだった。


しかしそれはあたしが見たことのある道具とは少し違い、持ち手に銃のような引き金が付いているタイプだった。


「先生、それは……?」


恐る恐るそう聞くと、先生は「電動の剪定ばさみだ」と、答えた。


刃の部分事態はそれほど大きくないから、少し太くなった枝を切る時に使う道具みたいだ。


「これを使えば力もいらないし、一瞬で終わる」


先生はそう言いながら靴と靴下を脱ぎ始めた。


あたしはその様子を見つめることしかできない。


止めることなんて、とてもできなかった。


先生は壁にもたれかかるようにして座り、右足の小指に剪定ばさみを挟み込んだ。


後は引き金を引くだけだ。
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