人間サイコロ
そう聞かれて、あたしは先生へ視線を向けた。


先生はキツク目を閉じて痛みと戦っている。


「そうなのかな……」


画面が前回と変わっていなかったから、てっきりホナミの手形が必要なのだと思い込んでいた。


でも、違う……?


あたしは焦る気持ちを押し殺してもう1度コマンドを入力し、手形の画面を表示させた。


一番右側だけ残された額縁をジッと見つめる。


「先生、起きられますか?」


あたしは覚悟を決めて先生にそう聞いた。


先生はゆっくりと目を開けて「どうした? 次のミッションか?」と、聞いて来た。


あたしはその質問に左右に首を振る。


「先生の手形が必要かもしれないんです」


「手形……? あぁ、さっきの画面のことか?」


「そうです。もしかしたら、先生の手形で通用するかもしれないんです」


あたしの言葉に先生はとまどった様子で視線を漂わせた。
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