人間サイコロ
バキバキバキッ! と、なにかが砕けて行くような音が響き渡り、天井の端から端まで大きな亀裂が走ったのだ。


間髪入れず、その隙間から大量の水が流れ込んでくる。


その水は綺麗なものではなく、土や小石が混ざったどす黒いものだった。


「イヤアア!!」


あたしはなすすべもなく、イクヤの体に抱きついた。


どうして?


先生の手形は失敗だったの?


これが、ゲームオーバーになったときの最後なの……?


大量の土の混じった水はあっという間にあたし達の体を飲み込んでいく。


重たい水につかった体は思うように動かすこともできず、浮上することが難しい。


もがけばもがくほど下へ下へと落ちて行く、まるで蟻地獄だ。


イクヤ……。


あたしは懸命にイクヤを探して手を伸ばす。


さっきまで一緒にいたはずのイクヤがどこにもいない。
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