人間サイコロ
さっきまでの余裕は消え去り、次第に焦ってくる。


背中に汗が流れて呼吸が苦しくなってくるのを感じた。


「ちょっと貸してみろ」


イクヤにそう言われてその場をどけるが、イクヤやイツキがドアを開けようとしてもダメだった。


「なんだよこれ! 本当にドアが開かない!」


イクヤは何度もドアを殴りつけているが、今日は水曜日なので部員は誰もいない。


あたしたちに気が付く人は、誰もいない。


途端に全身がスーッと冷たくなっていった。


見たくないと思いながら、視線がモニターへ向かう。


右上の包帯男と視線がぶつかり、その目元が奇妙に歪んだように見えた。


そう、それはまるで今のあたしたちを見て笑っているような……。


「どけろ!」


そんな声がして振り向くと、カズヤがドアへ向けて椅子を振り下ろすところだった。


ガンッ! と、大きな音が倉庫中に響き渡り、思わず両手で耳を塞いでいた。


「もう一回だ!」


イクヤの声の後、再び騒音が響き渡る。


「なんで、全然壊れねぇんだよ……」


何度か同じ作業を繰り返したカズヤが、肩で息をしながらそう言った。
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