人間サイコロ
ミホはあたしの手を握り返して来た。


それよりも、今は徐々に酸素が薄くなって行く倉庫内の方が心配だった。


どこからか空気の出入りはあると思うけれど、6人も閉じ込められているから徐々に薄くなって行っても不思議じゃなかった。


「ちょっと、試してみるか?」


カウントダウンが2分前になったとき、カズヤがミホの前に立ってそう言った。


「え……?」


そう聞き返すミホの声がわずかに震えた。


カズヤがなにをしようとしているのか、瞬時に理解したのだろう。


あたしはミホの体を隠すように前に出た。


「なにバカなこと言ってるの? まさか、ゲームのことを本気にしたワケじゃないんでしょ?」


カズヤを睨み付けてそう言うと「どうかな?」と、カズヤは口角を上げて笑った。


「ゲームじゃなくても、今ここで何をしたって誰も助けには来ない。こんなにチャンスなことはないだろ?」


そう言って舌なめずりをする。


いやらしい顔になるカズヤに吐き気が込み上げて来た。
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