人間サイコロ
壁を壊したり、ドアを壊して脱出できるのなら、もうとっくの前にやっていることだった。


それができないから、あたしたちはゲームを進めるしかないんだ。


「出られない上にゲームのクリアもできなくなったら……きっと、全員ここで死ぬ」


あたしの言葉にカズヤが金槌を握りしめる手に力を込めた。


眉間に青筋が立っている。


「俺はこのゲームに勝って外へ出る。そのために、ぶっ壊す!」


そう言って金槌が振り上げられる。


咄嗟に両手で頭を庇い、しゃがみ込んだ。


「やめとけよ、カズヤ」


イクヤの声がして顔を上げると、イクヤがカズヤの手を掴んで制止しているところだ
った。


「このゲームは普通じゃない。ユウの言う通り、壊したら全員死ぬ可能性だってあるだろ」


「だったら、最後までこのゲームに従うつもりか?」


「それしか方法はないだろ」


イクヤはそう言って唇をかみしめた。
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