人間サイコロ
☆☆☆

「本当に、他の道具はなかったの?」


少し落ち着いてきてから、あたしはカズヤへ向かってそう聞いた。


「当たり前だろ? ライターがあったならそっちを使ってる」


カズヤはそう答え、ガスバーナーを段ボール箱へ戻した。


本当だろうか?


カズヤは日ごろの行いが悪いから、こちらも妙な風に考えてしまう。


「大丈夫だよユウ。本当に、あれしかなかったんだ」


イクヤがあたしの肩を抱きしめてそう言った。


その瞬間、涙があふれ出して来る。


痛みと恐怖で引っ込んでいたけれど、こうして落ち着いてくるとあっという間に涙腺は崩壊してしまった。


「この部屋を出たら、すぐに治療してもらいに行こう。な?」


そう言われ、あたしは何度も頷いた。
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