人間サイコロ
カウントダウンは残り5分になっていた。


これじゃゲームをやめる前にイクヤが犠牲になってしまう。


焦りから、あたしはコンロトーラーの方向キーをめちゃくちゃに動かしていた。


こんな風に暗号を用意するということは、どこかになにかが隠されているハズだ。


普通のゲームにだって裏技は存在する。


プレイ前にコマンドを入力するとか、特別なアイテムを入手すれば裏面に行けるとか……!


「あ!」


声を上げたのはイクヤだった。


「え?」


あたしは目を丸くしてイクヤを見つめる。


「ちょっと、貸して!」


そう言ってコントローラーをあたしから奪い取ると、イクヤは方向キーを操作した。
上、上、右、右、上。


連続して3度入力する。


するとあたしが解読した暗号にカーソルがピタリと合ったのだ。


「これ、別の画面に移動できるぞ!」


カズヤが興奮気味に言う。


「さっき、一瞬だけここにカーソルが合った気がしたんだ。当たりだったな」


イクヤも画面に食い入っている。
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