人間サイコロ
良かった。


本人の意思に関係なく、手形はしっかりとはまってくれるみたいだ。


安堵し、ホナミの体を元の場所へと横たえる。


次はイツキの番だった。


すでに呼吸を止めているイツキの体に触れるのは抵抗があったけれど、躊躇している時間はなかった。


カズヤがイツキの上半身を起こすと、口からボトボトと大量の血液が溢れだしてきて、床が血に染まっていく。


イクヤはイツキの足を持ちあげて、2人してモニターの前へと移動してきた。


「ごめんねイツキ」


あたしは永遠の眠りについてしまったイツキへ向かって声をかけ、その手を画面に押しあてた。


5つ目の額縁も埋まり、あたしたちの間に笑顔が浮かんだ。


残る額縁はあと1つ……。


そう思った瞬間、あたしから笑顔が消えて行くのがわかった。
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