人間サイコロ
注射器
残り時間は後3分。


ぼやぼやしている暇はなかった。


あたしたち3人は使えそうな道具を片っ端から探して行った。


ノミ、金槌、釘。


しかし、それらで眼球を破損することはできても、破裂させることができるかどうかわからなかった。


眼球を風船のように割ることが可能な道具なんて、ここにあるのかどうか……。


そう思いながら小さな段ボールの箱を空けた瞬間、あたしは動きを止めていた。


「なにこれ……」


段ボールの中に入れられていた透明な袋を取り出すと、一瞬にして寒気が走った。


「注射器?」


あたしの隣で探し物をしていたイクヤが手を止め、そう聞いて来た。


透明な袋の中身は確かに注射器のように見える。


「なんでこんな所に注射器が……?」


「それ、たぶん先輩のやつだ」


そう言ったのはカズヤだった。


あたしの手から袋を受け取り、中を確認している。


「先輩のやつ?」


あたしはカズヤへ聞き返す。

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