人間サイコロ
「イクヤ……?」


そっと目を開けると、イクヤの右目は空洞になっていた。


弾けとんだ眼球は血で真っ赤に染まっていて、空洞からも次々と血があふれ出して来る。


今までそこに存在していた大好きなイクヤの顔は、もう無くなっていた。


「なんだよ、なんでカウントダウンが止まらないんだよ!」


カズヤの言葉にハッとして画面を確認した。


カウントダウンはまだ続いていて、残り1分を切っている。


「なんで……!?」


そう言った時、イクヤが大きく息を吸い込んだ。


「眼球は……2つある」


イクヤの、覚悟を決めたような声に心臓が止まるかと思った。


眼球は2つある。


「もう片方も破裂させないといけないのか」


カズヤが苦し気に表情を歪めて言った。
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