薬指に愛の印を
「素敵……。日本にはないものがあふれているから海外旅行は好き!」

煌めく光を見つめながら、せとかは言う。オメルがそっとせとかに優しく触れ、唇を重ねる。久しぶりのキスに、せとかからもそっとキスを返した。



せとかはオメルに案内され、エジプトを楽しむ。

十字軍を破ったエジプトの英雄、サラーフ・アッディーンが建設した城塞シタデルや、かつてエジプトに逃れてきたキリスト一家が暮らした場所として知られる聖ジョージ教会、十二万点もの展示物を有するエジプト考古学博物館など、多くの観光地を巡った。

お昼頃、せとかとオメルはハーン・ハリーリにやって来た。そこはカイロ最大の市場で地元の人から観光客まで、多くの人で賑わっている。

「オメル、素敵なランプがたくさん売ってる!アラビアンナイトの世界に来たみたい!」

軒先に並んだ香水瓶やランプシェードを見て、せとかははしゃぐ。オメルも「気に入ったものがあれば買うよ?」と微笑む。
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