薬指に愛の印を
せとかは昼休みにオメルを誘う。挨拶を返してくれたのだから、話せないわけではないはず。そうせとかは思ったのだ。

「オメル、一緒にお昼食べに行こうよ。ここの学食すごくおいしいんだよ!」

オメルにアラビア語で邦訳された言葉を見せる。そして、せとかはオメルをじっと見つめた。その目に迷いがあることを見抜く。

「よし、行こう!」

オメルの手を掴み、せとかは学食へと向かう。強引に連れて来たのだが、オメルは大人しくせとかと友達の間に座った。

「マ、マジで連れて来たの?」

オメルを見て友達が驚く。せとかはニコニコ笑いながら頷き、オメルにアラビア語で邦訳した学食のメニュー表を見せた。

「日替わりランチはすごくおすすめだよ!今日は野菜カレーだって」

そう言いながら、せとかは日替わりランチを買う。すると、オメルがせとかの肩に手を置いた。

「何?どうしたの?」

せとかは優しく微笑む。オメルは何かを食べるジェスチャーを見せた後、せとかの持っている日替わりランチを指差した。
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