薬指に愛の印を
せとかはすぐに気づいた。オメルのことが好きなのだと。そして、告白をすることにした。

大学の屋上。夕焼けが燃えている中、せとかはオメルに言った。

「アナー ムウジバトゥ ビカ(あたしはあなたが好きです)」



大学を卒業して三年。せとかは空港でオメルに電話をかけていた。

せとかはオメルに告白をし、今でもずっと付き合っている。オメルとは遠距離恋愛になってしまったが、一年に何度か時間を作ってはオメルがせとかに会いに来てくれていた。

しかし、今回は逆だ。せとかがオメルに会いにエジプトを訪れたのだ。

「もしもしオメル。今、入国審査が終わったところだよ。どこにいるの?」

オメルに教えてもらったおかげでかなり話せるようになったアラビア語を使う。

「さあどこにいるでしょうか?」

電話の向こうから笑いながらオメルが言う。オメルはせとかと付き合い始めてから、とても明るくなった。こんないたずらもするし、冗談だって言うようになった。
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