薬指に愛の印を
オメルが明るくなってくれたことは嬉しいが、今せとかは日本語が通じない場所にいる。せとかはだんだん不安になってきた。

「オメル!冗談はここまでにして!あたし、海外旅行は好きだけど一人で海外旅行に行くなんて初めてなの!!」

せとかがそう言うと、「アナー アーシフ(ごめん)」とオメルは笑い、「後ろを振り返って」と言った。

せとかが振り向くと、クーフィーヤを着たオメルが「イッザィヤック(久しぶり)」と手を振る。せとかはオメルに抱きついた。

「もう!不安だったんだから!」

そうせとかは怒ったように言ったが、本当は怒ってなどいない。久しぶりのオメルの温もりに、胸を高鳴らせていた。

その後、せとかはオメルに連れられオメルの家へと行った。オメルは家族と暮らしている。両親と祖父母、そして二人の弟がいた。

「フルサ サ イーダ(初めまして)、月島せとかです。オメルさんとお付き合いをさせていただいています。日本人です。どうぞよろしくお願い致します」

丁寧にせとかが頭を下げると、オメルの家族はせとかを温かく歓迎してくれた。
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