薬指に愛の印を

「兄ちゃんに彼女ができるなんて、前代未聞だぜ！」

「そうだよ、日本に行く前はあんなに暗かったのに、帰ってきたらとても明るくなってるんだもん！頭でも打ったのかと思ったよ」

せとかに二人の弟が話しかける。オメルが「余計なこと言うなよ！」と慌てて言った。せとかは思わず笑ってしまう。

「せとかさん、オメルをあそこまで変えてくれてありがとう」

「息子がお世話になっています」

オメルの両親、祖父母と話し、せとかはオメルの家に泊まらせてもらうことになった。

ムルキーヤと呼ばれるモロヘイヤのスープや、ターゲンという土鍋で米や野菜、肉や魚などを蒸し焼きにした料理をみんなで一緒に食べた。

「なんだか家族みたいね〜」

オメルのおばあちゃんがそう言い、せとかは思わず水を吹き出してしまうところだった。



次の日、朝ご飯をみんなで食べた後、せとかは早速オメルにエジプトを案内してもらうことになった。

「やっぱりエジプトといえばここだよね」