演技じゃなくて

屋上で一緒に音楽を聴きながらお互いを


意識し合うふたりの男女。


ぴゅう、と風が吹いて女の子の髪がなびく。


彼女は少し恥ずかしそうに髪を抑えて、目をそら


す。その姿に見惚れた男の子は、ついずっと言お


うと思ってたことを呟いてしまう。


『好きだよ。』


『え…?』女の子は彼のほうを見てぱちぱちと瞬


きをしてそれからいつもの笑顔になる。


『私も好きだよ。いいよね、この曲。』


『じゃなくて、君のこと。


初めてあった時から、ずっと、好きだった』


瞬間、女の子の目からひとすじの涙がこぼれた。


彼は嬉しそうに笑って彼女を抱きしめた…。
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