演技じゃなくて
「ね、分かる?このラストシーンは、今まですれ
違ってきたふたりの想いがついに通じ合う感動の場面なの!だからさー、いつものように頑張ってよ、蓮!」


この映画のヒロインとは、全く違う豪快さで俺の
背中を叩くこいつ、咲。


咲は昔から将来は役者になりたいと宣言していた。

俺は役者の凄さを咲から聞き続けてたからなの
かいつからかその夢は自分の夢にもなっていた。


ふたりで、役者になる。


そう約束してから、はじめてきた映画の仕事。小
さな事務所に所属していて、人気なんかは全くないけれど、その若さと容姿でなんとかもらえた仕
事だ。


俺と咲は世間で言う、美男美女ならしい。俺は正
直なところ、まあまあ自覚しているけれど、咲は
無自覚の無駄美人だ。もっとおしとやかなら人気もあっただろうな。
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