【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「灰野くん?」
「え?」
いや、違う。全然好きじゃないから。
「道あってるのかな……なんか一周にしては長くない?」
言われてみれば。
「本当だ。間違えたね」
「えっ、どうしよう?」
藍田さんの手が俺の手をぎゅっと握ってきて……そんなビビんなくても絶対帰れるから。
藍田さんは不安げに俺を見上げている。
あ。
上目遣いに気をとられている場合じゃなかった。
ナギなら「俺に任せとけ」とかいうんだろ?
そんなの言ってみればいいんだろ。
「大丈夫、俺がちゃんと。するから……」
なんでこんなにうまく言えないんだよ!
「とりあえず戻ろ。二又の道あった気がするしそこで間違えたんだと思う」