【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
暗闇で灰野くんと
藍田胡桃 Side*
◇
忘れてほしい過去を何回も思い出すって言ったら、「最悪」って言われた。
ショックで泣いちゃったんだけど、灰野くんは「怖いから泣いた」ということで納得してくれて。
……本当に灰野くんって鈍感だ。
後ろめたくなって正直に話しそうになったよ……。
でも、ラッキー。
だってずっと、手をつないでいるんだもん。
握ってくれる手はやさしくて熱っぽい。
ドキドキは一秒も休まらないけど道に迷ってるいまがずっと続けばいいのに。
まっすぐ前を見つめる彼のクールな横顔をちらっと見る。
はぁ……。
灰野くんってどうしてこんなにかっこいいんだろう?