【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

「あー、わかるわ。藍田さんそんな感じする。それ、俺攻略しやすいと思うけど。簡単そうじゃん」


「お前はな?」


チャラいからな。余裕だろうな。


「その漫画でさぁ……主人公の女が好きなやつに名前間違えられるシーンがあったんだよね」


なんだこのクズ男、頭大丈夫かよって。あの頃絶対に思ったはずなのに。


「俺、それやっちゃった。藍田さんに」


「もしかして藍田さんのことを”花”って呼んだのかよ?」


頷く俺に「引くわー」と顔をしかめて、でも堪え切れなかったみたいに笑いだす山本。ほんとムカつくな。


「藍田さんショックだっただろうなぁ。かわいそー」


「そこなんだよ」


あの漫画のヒロインはかなりの衝撃をうけて泣いて取り乱していたような気がする。


でも藍田さんはそうじゃなかった。


「藍田さんノーダメ。からかうみたいに笑われた」


「プ……。なんか伊吹って藍田さんの前だといつも間抜けだな!」


アハハじゃねーよ。



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