【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
プールサイドでひみつごと
灰野 伊吹Side*
◇
……俺ヤバくない?
頭おかしいだろ、またダサいことした。
でも藍田さんがナギのことばっかり見すぎだから。
あんなの普通にむかつくだろ。
それで……。
俺は昨日、あれだけ渾身の想いを赤裸々に伝えたのに。
「ナギちゃんこっちのデッキブラシの方が新しいよ」
「まじ。さんきゅー」
俺の話が微塵も届いてなくてびっくりする。
「……は、灰野くん、これどうぞ」
藍田さんはこっちに顔さえ向けず、デッキブラシを俺に差し出した。
「……あ、どうも」
残ったのはこの気まずい空気と、「何かあったの?」とでも言いたげな生ぬるい四方からの視線だけだ。
「……最悪」
なんでこうも、うまくいかないんだろう。