【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
藍田さんが、人をネタにしてしまうような人じゃなくてよかった。


俺もう結構消えたいから。


「灰野すげー!ひとりでそんだけ綺麗にしたの?」


ナギがへらっと笑って、じゃぶじゃぶと足元の水をかきわけながらこっちへ歩いてくる。


「ナギも早く部活に行きたいなら頑張って磨けよ」


「俺今日は諦めてる」


「へぇ」


意外。サッカー馬鹿なのに。


ナギはこびりついた汚れを落とそうとデッキブラシで力任せに底をこすりはじめた。



「灰野もサッカー部はいればよかったのに」


「そうだなぁ」


楽しいだろうなと思うんだけど。


「弟のせい?」


「んー、まぁ、せいってわけじゃないけど」


「今何歳になった?」


「もうすぐ4歳」


「へぇ。何て言ったっけ、名前。胡桃に聞いたんだけどなぁ」


「愁(しゅう)だけど」


「あーそうだそうだ、愁ちゃん」


俺の弟まで共有してたのかお前ら。

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