【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「俺はね、”彼女”っていうのは愛されるべきだと思うんだけど」
ガシガシと、デッキブラシでこすりながら顔色一つ変えず、平然とそんなことをナギは言う。
「灰野は藤堂花ちゃんにはソレできたけど、胡桃には無理だっただろ?そんで、これからも無理だろ?」
「……しらねーよ」
「胡桃にああいうちょっかい出すならさ、ある程度覚悟決めろよ。お前中途半端でせこいんだって」
せこいって。
それお前だろ。
「藍田さんの鈍感を利用して、告りまくってるお前に言われたくない」
「えー?」
へぇ……否定しないんだ。
その代わり、ナギは頭をかきながら笑って言った。
「……あー、じゃあお互いさまかぁ。ごめん」
「ナギ、やっぱり藍田さんのこと好きなんじゃん」
「なにをいまさらー?知ってるくせに」
知ってるけど。
「ナギになんのメリットがあって藍田さんのこと応援してんの?」
それだけがわかんねーんだよ。
なんで俺たちをくっつけようとする側にいんの?
「灰野には絶対に教えない」