【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
あたしと灰野くんが付き合った「一カ月」を軽々と越した二人を見て、胸が苦しかった。


二人は毎日一緒に下校して、あっという間に一年が過ぎて。


高二の4月。つまりついこの間、約一年の付き合いの後、藤堂さんと灰野くんは別れた。



……別れても二人は、まだ友達のようにいられるんだ。



あたしの時は別れたら他人になってしまったのに。



あたしは、何が悪かったのかな。


……やっぱりアレかな。


思い当たる苦い思い出はひとつだけある。


子供のあたしたちが、背伸びしようとして失敗したあの時(・・・)


飛び散るガラスだとか、真っ赤な灰野くんの顔だとかを思い出してため息をついた。



アレのせいで別れたとすれば、それって悲しいな。



< 16 / 400 >

この作品をシェア

pagetop