【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
化学室につくと、灰野くんはもう席についていて周りの人たちと楽しそうに雑談していた。


ごくっと唾を飲み込み、教科書に重ねて持っているCDを親指で撫でる。


うう、緊張するなぁ……。


「あの……灰野くん」


どっくんと心臓が鳴る。

だって振り返った彼の顔から、すーっと笑みが消えちゃったから……。


「……何?」


ひんやりとした低い声。灰野くんはあたしにだけ冷たい。




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