【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「……なにしてんの藍田さんっ!」


声のしたほうを振り返ると、灰野くんがいた。


……なんで?


はぁはぁと、息を切っている彼は、あたしと同じくらいぐちゃぐちゃで。


その手で、リボンとハートが描かれたあたしの傘をさしている。


ファンシーなそれは、すっとあたしに差し出された。


なんで使ってくれてるの……?


「傘さしなよ」

「……うん」


地面におろしていた傘を持ち上げて、俯いた。


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