【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
ふと、見上げたほうにいる灰野くん。


彼の視線は明後日の方を向いている。


「灰野くん?」


名前を呼ぶと、こっちを振り向いてくれた彼は、しっくりするくらい見慣れた真っ赤な頬を両手で叩いた。


パンっと乾いた音が響く。




「ごめん……。俺、ごめん。なにやってんだろうね。……ははっ」



堪え切れずに笑ってしまったみたいな笑みに、ずきゅんと、撃ち落された。



リピートで……お願いします、灰野くん。



両手で顔を覆ったあたしの頭上にチャイムが鳴り響いた。



< 202 / 400 >

この作品をシェア

pagetop