【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
呪われた草食系男子
灰野 伊吹 side*
◇
藍田さん、今なんて言った?
「あんなの付き合ってたうちに入らないよね」
じゃあ付き合ってたうちに入らない人に中学の藍田さんは、あんなこと言ったの?
ーーー『キス、してみたい……』
なんだったの、アレは。
俺は手のひらに残る傷跡をじっと眺めてから拳を握る。
「藍田さん寝てるね。こじんまりした後ろ姿、かっわい」
チャラそうでチャラい山本が、藍田さんに視線を向けている。
「……どうでもいい」
「こんなギスギスした空気を残して寝られるなんて大物だなぁ」
あはは、と笑う山本を足蹴にする。
でも藍田さん。
本当に俺は藍田さんのことがわかんないよ。
なんで好きみたいなそぶりを見せてくるのに、同じくらい俺なんかどうでもいいみたいなそぶりも見せてくんの?
こっちは、こんなにイライラもやもやしながら、そっちのこと見てんのに。
なんなんだよ、藍田さん。