【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

呪われた草食系男子



灰野 伊吹 side*





藍田さん、今なんて言った?


「あんなの付き合ってたうちに入らないよね」


じゃあ付き合ってたうちに入らない人に中学の藍田さんは、あんなこと言ったの?


ーーー『キス、してみたい……』


なんだったの、アレは。


俺は手のひらに残る傷跡をじっと眺めてから拳を握る。



「藍田さん寝てるね。こじんまりした後ろ姿、かっわい」


チャラそうでチャラい山本が、藍田さんに視線を向けている。


「……どうでもいい」


「こんなギスギスした空気を残して寝られるなんて大物だなぁ」


あはは、と笑う山本を足蹴にする。


でも藍田さん。


本当に俺は藍田さんのことがわかんないよ。


なんで好きみたいなそぶりを見せてくるのに、同じくらい俺なんかどうでもいいみたいなそぶりも見せてくんの?


こっちは、こんなにイライラもやもやしながら、そっちのこと見てんのに。


なんなんだよ、藍田さん。



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