【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「ちょっと遠回りになるけど、またサッカーできるようになったら楽しもう?高3だって夏まではできるし、そうじゃなくてもサッカー、ずっとできるし……」


でもそういうことじゃない。
……わかっているんだけど。


「うん」


「リハビリあたしもできること手伝うから……なんでもする」



「……ははっ。心強いような、そうでもないような?」


ナギちゃんは肩を震わせて笑っている。


「もうー……」


笑っていても、もう落ち込んでいるのが丸見えだ。



ナギちゃんはいつも、ひとのことばっかりで、簡単に優しい言葉をかけるのに。


あたしは弱ったナギちゃんになんて言ってあげたらいいのか、わからない。



「……何もできなくてごめんね」


そっと、手のひらを掴んだ。
ぎゅうっと。


治れって、細胞にとどけ。


「”何もできない”ってソレありえないから。本当に大事なものって案外小さかったりすんの」


「どういうこと?」


首を傾げるあたしに、ナギちゃんは笑って言う。


「胡桃がいてくれるだけで救われてますってこと」


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