【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
ロケットダッシュ
灰野伊吹SIDE*
◇
ナギのことは正直そんな好きじゃないし。
別にお見舞いに行くほどの関係じゃないし。
でもなんで、俺、来たんだろう。しかも一人で。
「熱とか出てて大変そうだった」
と昨日お見舞いに行ったらしい藍田さんが言っていた。
「じゃあ私たちも今日はお見舞い控えよっかなー」
そんな彗とリホの声も聞こえたし、俺も絶対その方がいいと思うんだけど。
空っぽのあいつの席見てると、そわそわするというか。
だいたいなんでLINE未読スルーするんだよ。気になるだろ、普通に。
大丈夫なのかな。
……あいつからサッカー取ったら、メンタルいけんの?
―――藤原凪砂。
その名前の書かれた病室の扉をノックしてからそっと開けた先で、ナギは寝ていた。
骨折ってこんななの?
めっちゃくちゃ大掛かりなことされてんじゃん……。
お見舞いに持ってきたものをベッドの机の上に置いた。