【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
だけど藍田さんの鈍感さだって俺は学んでる。


だから付け加えさせて。


「もう一回、藍田さんと付き合いたい」


戸惑う藍田さんの顔は真っ赤だけど、駄目？


まだ理解には足りない？


藍田さんといい勝負なくらい、俺も真っ赤なんだろうな。


「……藍田さんのこと、俺の物にしたい」


正直もう限界で、心臓が破裂でもしそう。


だけど語尾の消えかけたこの声は、ちゃんと藍田さんに届いたらしい。


「本当に、言ってる……？」


藍田さんの目に涙が浮かんでいる。


「うん」とはっきり頷いているのに。


「藤堂さんのこと、好きなんじゃないの？」

と、藍田さんは問う。


「……花を？」


「だって……シロクマのマスコット持ってたよね……？それを必死に探してたでしょう？」


「あれは、偶然入ってただけで……。必死で探してたのは藍田さんにそんなの持ってるとこを見られたくなかったから」



て、いうより。


「花と別れたのだって、どうしても藍田さんが気になったから」


って、聞いてる？

何か言ってよ、藍田さん。


沈黙に耐えられなくなりかけた時。


「……あたしで、いいの？」


そんなこといちいち聞くなよ。


「藍田さんがいいの」


「でも……あたしのこと嫌いだったんじゃないの？」


「……大っ嫌いになりたいくらい好きすぎて苦しかっただけ」



「え……」


きょとんとしてから、

涙に濡れた目を細めて笑う藍田さんは、


「あたしも……灰野くんが好き」


震える声と真っ赤な顔で、そう言ってくれた。





< 235 / 400 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop