【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
3
幻覚と現実の狭間
藍田胡桃 side*
◇
ドキドキドキドキ。
心臓がいまだに暴れている。
さっきの灰野くんって本物なんだよね?
全力疾走で、あたしのところに来てくれた彼が。
本物?いや、幻覚?
ナギちゃんのお見舞いに行くことも吹っ飛んで、あたしはリビングの片隅で三角座りしていた。
「胡桃さっき灰野くんいなかった?」
「やっぱりいた!?お母さん見てた!?」
じゃあ現実、なのかな?
「ベランダから見たけど。あの子かっこよく成長したわねぇ。小さい頃も整ってたけど、育成成功ね」
「お母さんイケメンすきだもんね、すごい言い方でびっくりしてる」
育成って。
「灰野くんって幼稚園の頃胡桃と結構仲良かった割に、小学校以降はさっぱりしてたわよね。お母さんがっかりだった」
「幼稚園の時灰野くんとあたしって仲良かった?」
「えー!灰野くん、胡桃にべた惚れだったじゃない。会うたびに走って『くうみちゃーん』って!もうほんっとかわいかった。正直胡桃より可愛かった」
「こら。ていうより全然覚えてないなぁ」
ちょっと嬉しくてにやけちゃうけど。
「はぁー。そんなんだからあんな最良の物件のがすのよ、胡桃は」
「最良の物件っていう表現にもびっくりしてる」
お母さんがうるさいから、部屋に入ってベッドに横になった。
本当に、あれって灰野くん?
幻覚?
また頭を巡っていく。
そんな時。
◇
ドキドキドキドキ。
心臓がいまだに暴れている。
さっきの灰野くんって本物なんだよね?
全力疾走で、あたしのところに来てくれた彼が。
本物?いや、幻覚?
ナギちゃんのお見舞いに行くことも吹っ飛んで、あたしはリビングの片隅で三角座りしていた。
「胡桃さっき灰野くんいなかった?」
「やっぱりいた!?お母さん見てた!?」
じゃあ現実、なのかな?
「ベランダから見たけど。あの子かっこよく成長したわねぇ。小さい頃も整ってたけど、育成成功ね」
「お母さんイケメンすきだもんね、すごい言い方でびっくりしてる」
育成って。
「灰野くんって幼稚園の頃胡桃と結構仲良かった割に、小学校以降はさっぱりしてたわよね。お母さんがっかりだった」
「幼稚園の時灰野くんとあたしって仲良かった?」
「えー!灰野くん、胡桃にべた惚れだったじゃない。会うたびに走って『くうみちゃーん』って!もうほんっとかわいかった。正直胡桃より可愛かった」
「こら。ていうより全然覚えてないなぁ」
ちょっと嬉しくてにやけちゃうけど。
「はぁー。そんなんだからあんな最良の物件のがすのよ、胡桃は」
「最良の物件っていう表現にもびっくりしてる」
お母さんがうるさいから、部屋に入ってベッドに横になった。
本当に、あれって灰野くん?
幻覚?
また頭を巡っていく。
そんな時。