【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
翌朝。自分をこんなに疑ったことはない。


どうして今、七時四十五分なんて意味不明な時間にアラームが鳴っているんだろう。


「ねぼうした……っ!!!」


あたしは大慌てで支度をして、ごはんは抜いて、髪もとかすだけで。


……もっとちゃんとしたかった!!!


涙をのんであたしは家を出る。


待ち合わせはきっとカーブミラーのところ。


風を切って走る。


すぐそこに立っているのは、朝からあんなに麗しい、灰野くん。


あたしは全力疾走から小走りに変えて、見惚れるように彼を見た。


茶色い髪が通り抜ける風になびいて、ぼうっと空を見上げる灰野くんは。


――あ、飛行機雲……。


そうアフレコをつけたくなるような横顔で。

極上にかっこいい。



本当にあたしは、あの灰野くんの彼女になったのかな……。

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