【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「おはよう……!」


灰野くんはのんびりと片手を上げて「おはよ」とこっちを向いた。


「……っごめん、寝坊しちゃって……あれ?」


なんか、いつもより。


「どうした?」


その綺麗な瞳が、よく見えない?


……なんで?


ぐっと距離を縮めて、やっとピントがあった。


「あ……、藍田さん?」


身を反らせて、たじろぐ灰野くんの顔が赤くなっていく。

けどなんだかいつもより、まろやか。


「学校いこっ……か?」


不思議そうにあたしを一瞥した後で、灰野くんはぱっと顔を背けて、住宅街を歩き始める。


すぐ隣に灰野くんがいるのが、不思議でたまんなくて、ちらっとだけ横顔を見た。


……見えない……。


恋は盲目ってこういう事、なのかな……?



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