【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「胡桃も食べる?」


スプーンですくった一口を、口元に向けられていて。


「え!?ううん、いいよ。そんなの間接キスじゃん……!」


大慌てのあたしを見て、ナギちゃんはきょとんとしてから、ぶはっと笑った。


「間接キスって!小学生じゃねーんだから」


「でもそういうのは、彼女とやることだよ」


「そーなん?」


まだクスクスと笑っているナギちゃんは、またパクンと一口食べた。


「じゃあ胡桃は灰野とそーいうのするわけかぁ」


「えっ、そんなの……考えられない」


「なんでだよ」


「ナギちゃんは?好きな子とどう?」


「あーそれね。その子さ、彼氏できたんだよね」


「うそ……いつ!?」


「最近」


「ナギちゃん……大丈夫?」


ただでさえ骨折してるのに。失恋なんて。
神様はどうかしてる。


「そんな顔しなくていーよ」


ナギちゃんはにっこりと笑って、ベッドをトントンと叩いた。


「たちっぱなしじゃアレでしょ。椅子は荷物置きにしてるし、ここ座って」


「うん」


すとんとナギちゃんのすぐ傍に腰をかける。


ほとんど隣り合うように座るとナギちゃんは突然あたしの口にスプーンをつっこんだ。



バニラの香りと共に甘さが口いっぱいに広がっていく。


「おいし?」


首を傾げる、ナギちゃん。


固まるあたし。
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