【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「藍田さん。もうそいつから離れて」


「でも……今みたいになったら危ないし」


「でも嫌だから。他の男に触られないで」


ぐいっとあたしの手をひっぱって、灰野くんの後ろに立ち位置をずらされた。


窓から溢れる午後の日差しに灰野くんの茶色い髪が輝いていて、


「藍田さんは、もう俺のでしょ」


そんなこと、言われたら、


あたしは……っ。


ドキドキと甘く高鳴る心臓。目をぎゅっとつむって、あふれそうな何もかもを押し込める。



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