【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
……頭いった……。

顔をしかめながら目を開けると、なぜか青い空の真ん中に藍田さんがいる。



「起きたぁ……!灰野くん大丈夫?」


ぽたんと俺の頬に雫が落ちた。
それは目の前の大きな目にぷくっと浮かびあがる藍田さんの涙で……。

「……え?」

よく見たら藍田さんだけじゃない。

俺は生徒にとり囲まれている。

しかも、プールサイドに寝転んでいて……。


「……えっと……?」


なにしてんの俺?

首を傾げながら起き上がった途端。


藍田さんを押しやるように女子がずいずいと割り込んできた。



「灰野くん大丈夫……!?」

「ああよかった!顔は怪我してない!」

「ねぇー!みんな!顔セーフだって!」

「よかったー!!!」


うるさ。授業中にそこらじゅうで叫びすぎだろ。
顔セーフってなんだよ。

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