【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
眉間に皺を入れた時、彗が人混みをかき分けて俺の目の前にしゃがんだ。


「灰野倒れたんだよ。大丈夫?」


……倒れた?


「てか、藍田さんは?」


きょろきょろと見回すと、人と人の隙間からようやく藍田さんの髪がちょっとだけ見えた。


「なんで藍田さん?」


すぐそばの女子が首を傾げた時、彗が間髪いれずに声を飛ばした。


「灰野の彼女だからだよ!てかもう、みんな、灰野は胡桃のだから下がんなよー!」

「ちょ、ちょっと彗!」


藍田さんが慌てる中、女子たちの悲鳴が上がっている。


「伊吹くんモテますねぇー!」


ばしっと、今山本が叩いたところな、多分打ったところだから。
すげぇ痛いんだけど……。
覚えとけよ。

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