【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「みんな静かに!いい機会だから言わせてもらおう!」


彗が両手を腰に当てて威張りながら女子の前に立ちはだかった。


「みんなが思ってる灰野は幻想だから!この人、イケメンなだけのただのヘタレだから!」


突然、ひどい言われようだな、俺。


「えー、ヘタレの灰野くんもよくない?」

「うんうん、全然いい。むしろそそられる」

「顔が全て!」


彗の予想に反した声ばかりが上がったのかもしれないけどさ。

彗は俺に視線を移して、さも驚いたような顔をして首を傾げた。


「この子たちちょっと頭おかしいのかもね?」


お前言いすぎだろ。


「も、もう……彗ってば……」


藍田さんの呆れ半分な声も無視して彗は叫んだ。


「とにかく、胡桃の灰野だからね!」


念を押すお前は、一体何ポジションなんだよ。


「えーーー」というブーイングは一応あったけど、結局女子たちはなんか楽しそうに散っていったし、彗っていうのは結構すごいやつなのかもしれない。

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