【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

「……この人誰?」

「藍田さん」

「あいださん」

な、なんか愁ちゃんに藍田さんってよばれるのは違和感すごいよ。


「胡桃っていうんだ。よろしくね」


愁ちゃんの目線にしゃがんだらやっとにこっと笑ってくれた。


……おっきくなったなぁ。

中1のころはまだ生まれて数か月だったのに。


「くうみちゃんだけ来たの?」

「え?」

「花ちゃんは?」


ひやりとした空気があたしたちの隙間を通り抜ける。


「花はもうこないよ」


灰野くんが愁ちゃんの髪をわしゃわしゃとしながら答えた。

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