【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
そっと開けると綺麗に整頓されたシンプルな部屋が目の前にあって。
見渡す限りどこにも藤堂さんの影はなくて、ほっと息を吐いた。
「はぁ……」
愁ちゃんすっごく可哀想だった。
花ちゃんがいい、かぁ……。
1年も付き合ったんだもん。
愁ちゃんが大好きになるくらい家にもいっぱい来てたんだろうな。
ここにいるのが申し訳なくてたまらないよ……。
――ガチャ。
あ、灰野くん。
「ごめん、愁眠くて機嫌悪いらしい」
「そっか」
そんな風に思えなかったけど……。
「じゃあ……まぁ勉強しようか」
「……うん、お願いします」
クーラーが効いてきた部屋は快適なのに、とにかくあたしたちの空気が重くて……。