【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
教室に差し込む夕日の光に溶け込んだ灰野くん。
ドキドキと激しい心臓を抱えて、すぐ傍まで歩み寄って、灰野くんを見上げる。
灰野くんの両手があたしの両肩に優しく触れた。
灰野くんのやさしい手がすき。
「……していい?」
紅い唇が念を押す。
「はい……」
頷いて、目を閉じたら、すぐだった。
かたく閉じた唇が、柔らかい感覚でおおわれて
優しく合わさっている。
ぷにゅっと触れた唇が、少し角度をずらしたり、押し付けたり。
気分を高ぶらせるような動きに、頭がくらくらしてきた。
「……はぁ……っ」
僅かに離れた隙間から、息継ぎするいみたいに聞こえた灰野くんの吐息。
すぐにまた唇で塞がれた唇は、熱を持ったみたいに熱くて、
心臓がバクバクして、
あたしもう、おかしくなりそう。
「……んぅ、あ……、灰野く……」
やっと唇が離れた時には、もうだめになっちゃうんじゃないかってくらい、あたしの全部がふにゃふにゃに溶けそうだった。
でも灰野くんは、そんなあたしにもう一回近づいて。
ボフッと肩に頭を沈ませた。
「その顔……えろすぎ」
そんなこと、耳元で言わないで……。
掠れかけの甘い声は灰野くんの限界を言っているように感じたのに。