【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。


ナギちゃんはその数日後に登校してきた。


松葉づえをつく彼を支えようとする女子にたいてい囲まれている。


そんな一日を終えて。


気疲れのせいか、ナギちゃんの笑顔に疲れが垣間見える放課後。


「胡桃お見舞いめっちゃ来てくれたしお礼したいんだけど。どっか行きたいとことかない?」


「え?」


「たとえば、見たい映画とかないの?」


「映画……!”僕壊”!」


「僕壊かよ。えーあれ映画になったの?」


「うん!めっちゃくちゃ観たくて!彗とリホちゃんと4人で行こうよ!」


「彗とリホは、まぁおいといてさ。了解」


そう言って、ナギちゃんの視線は自然とグラウンドに移った。


空の低いところがオレンジに染まりかけた夕焼けが窓いっぱいに広がったその下で、ボールを追いかけるサッカー部……。


ナギちゃんの寂しそうな横顔を見ると、胸がぎゅっと痛くなる。


「ナギちゃん」

「んー?」


なんか元気出させてあげたい。

頭をフル回転させて方法を考えていたら。


「そのリボンって見覚えあるなぁ」

ナギちゃんの手があたしの後ろ髪に触れた。
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